2020.02.06

【インタビュー】Bsmo 清水正代表取締役、グローバルD2Cを本格加速へ

Bsmo 清水正代社長

〈カラーコンタクトレンズ「Ove(オヴィ)」を展開



Bsmo(ビスモ)は、カラーコンタクトレンズやジュエリーのECサイトをグループで運営し、SNSを活用したターゲティング広告に特化したD2Cを展開している。18年11月に、カラーコンタクトレンズのグローバルブランド「Ove(オヴィ)」を立ち上げ、ECサイトで販売を開始。グッドデザイン賞を受賞するなど、デザイン性の訴求で差別化を図っている。清水社長にD2C事業の戦略や今後の事業戦略について話を聞いた。


SNSマーケに特化して


ーービジネスにおける経歴を教えてください。

2003年にコンタクトレンズの販売会社として「アジアネットワークス」という会社を立ち上げました。直販事業に加え、大手レコード会社など多くの企業のウェブマーケティングの運用を手掛ける中で、2015年にフェイスブック広告と出会い、SNSに特化したマーケティング事業をBsmoとして法人化しました。

その後は、企業にSNSマーケティングを提案して、海外のSNSマーケティングの現状も学んできました。米国・シリコンバレーでは、SNSマーケティングに特化することで業績を伸ばすD2C企業が多くあることも分かりました。こうした状況と比べて、日本国内の企業とのギャップを感じました。

まずは、自社でグローバル展開を見据えたEC事業を立ち上げようと考え、18年にグループのECをSNSマーケティングの運用を手掛ける事業にシフトさせました。

当社のグループ傘下には、食品を店舗やECで販売する「浅草農園」を運営する大福、カラーコンタクトレンズの販売を手掛けるANW(エー・エヌ・ダブリュー)、ジュエリーのECを手掛けるL&CO JAPANがあります。この3社は、すべてSNSマーケティングのみで訴求し、D2Cモデルとして展開しています。

ーーどんな成果が出ていますか。

三つのコンタクトレンズブランドを手掛けるANWで、すでに具体的な成果が出ています。18年11月に、新たにカラーコンタクトレンズのグローバルブランド「Ove(オヴィ)」を立ち上げ、ECサイトで販売を始めました。初年度となる18年11月~19年10月までの年商は3億6000万円と、当初の想定の約3倍となる結果が出ました。

「オヴィ」は、自社のECサイトで限定販売しているほか、プロモーションをSNSのみに絞って差別化を図りました。製品デザイナーに、安室奈美恵さんらを担当していたヘア&メイクアップアーティストの中野明海氏を迎えました。瞳の中の光を表現したデザインのサークルレンズを用いた商品を開発しています。

これまで培ったノウハウを生かし、A/Bテストを繰り返し、PDCAを回して、ターゲットを絞り込んだマーケティング手法に間違いがなかったことを証明することができました。外部のマーケティング会社に委託せず、すべて自社のエンジニアで解決できる点も意思決定を早めるために有効でした。
 19年にカラーコンタクトレンズとしては初のグッドデザイン賞を受賞しました。2月には、日本のコンタクトレンズ企業としては初めてとなる中国タオバオで自社ブランド「envie」のオフィシャルサイトをオープンする予定です。


グローバル展開も見据え


ーーECではグローバル展開も見据えているようですね。

ECサイトには、グローバル展開を見据えて、ECサイト構築システム「shopify(ショッピファイ)」を導入しました。現在までに会員数は約10万人。10~40代の女性が中心です。フェイスブックやインスタグラムなどSNSからの転換率は平均8%を超えるほか、定期購入への転換率は18%となっています。自社でマーケティングを内製化することが高い転換率につながっています。


高精度がD2Cの魅力


ーー清水社長が考えるD2Cの魅力とは。

フェイスブックやインスタグラムなどから、ECサイトへ流入することで、訪れた人のアカウント情報を得ることができます。そのため、より高い精度でターゲティング広告を配信することができる点がD2Cの魅力です。

日本国内のD2CとうたっているECの多くが、実際はSNS広告を使いこなせておらず現状では越境EC(輸出)の領域でしょう。

私が考える本来のD2Cは、ユーザーにGAFAに代表されるグローバルのプラットフォームで決済してもらい、その現地から商品を発送するというものだと考えています。さらに、SNSを通じて流入してきたユーザーの情報を得ている点もD2Cには必要な条件となると思います。全て自前で行うことができているECが実際にどれだけあるでしょうか。今年から本格的にグローバルD2Cを加速させ、将来的には売り上げの半数をグローバルによるものにしていきたいです。


〈プロフィール〉清水正(しみず・ただし)氏

九州国際大学卒。2003年アジアネットワークスを設立。カラコンブランド「エンジェルカラー」を立ち上げる。17年に中国、台湾でコンタクトシェア1位の永勝光学(台湾)とエイショウ光学(日本)によるジョイントベンチャーを立ち上げ、ファウンダー、取締役として経営に携わる。14年に「株式会社Bsmo」を設立し、SNSマーケティングにおけるグロースハックコンサルティングを行う。1973年生まれ、福岡県出身。


「Ove」のECサイト

RECOMMEND合わせて読みたい

RELATED関連する記事

RANKING人気記事