2020.07.02

【林家はな平の「商いの心構え」】最終回「付加価値と本商品をブラッシュアップ」

林家はな平さん


EC事業者にとって「いかにファンを作るか」は重要な課題です。ファン作りに成功すれば、収益が安定化するだけでなく、口コミによる拡散も期待できます。本連載では、噺家(落語家)の林家正蔵師匠の弟子で、多数の落語会を自ら企画・開催し、ファン作りを日々行っている林家はな平さんに、ネットショップに役立つ「ファンづくりのための情報発信」について聞きます。


最終回「付加価値と本商品をブラッシュアップ」


Q.ネットショップの店長や担当者にとって、最終的には、「売り上げにつなげる(CVRを高める)」ということが目標だと思います。メルマガやSNSでファンになってもらったお客さんに、実際に商品を購入してもらうためにどうしたらよいでしょうか。

 
落語家にとって、沢山のお客さんに落語会にお越しいただきたい、という思いは常に課題としてあるものです。いわゆる「名人」と言われるほどの腕があれば、お客さんも自ずと足を運んでくれると思いますが、全員が全員そうもいきません。多くの落語家が、少しでもお客さんが増えるように、なんとか努力しています。

私で言えば、年に3回ほど大きな独演会を開いていますが、やることはもちろん落語です。大ネタともう一つは軽い噺。ですがこればっかりを毎回やっていたんじゃあ、流石に私のことを好きなお客さんでも飽きてしまいます。

そこで、落語会に毎回色を付けるためにゲストを入れます。「色物さん」という、落語以外の、漫才とか紙切りといった芸をやる方に入ってもらって、マンネリを防ぐわけですね。これは落語家が割とよくやるやり方です。

普段の落語会に付加価値を付けるわけですね。毎回ゲストが居ることで、特に常連さんが喜びます。常連さんは寄席の世界に詳しい方が多いので、そういう色物さんのゲストが、私の独演会で観られるということに、お得感を感じるようです。

初めてのお客さんにとっては、落語自体を初めて聞く人も多いと思います。長い噺を聴くのは大変だと思いますが、色物さんが入ることで、しばし箸休めになります。長い噺を聴く前の準備運動みたいなものです。

しかし、一番大事なのは、私の落語です。付加価値が付いていても、肝心の商品(落語)がダメなら意味がないので、そこは一番力を入れるべきです。

ネットショップの商品も同じだと思います。付加価値がつくことで、新しいお客さんにも常連さんにも興味が湧くような商品が作れるのではないかと思います。

ただ、付加価値ばかりにこだわるのではなく、本商品の改良・改善は続けて行っていくべきではないでしょうか。




【林家はな平<プロフィール>】

1984年福岡県生まれ。2007年3月に大学を卒業後、九代目林家正蔵に入門。2011年11月 二ツ目昇進。現在、東京蒲田で開催の「はな平のワンマン」を中心に、都内はもちろん全国各地で公演中。地元福岡でも精力的に活動中。東京都立六本木高等学校では、「落語」授業特別講師も務めている。学習院大学落語研究会顧問。NHK連続テレビ小説「梅ちゃん先生」、NHK「立川志らくの演芸図鑑」など、テレビ番組にも出演多数。Twitterアカウント:@Humbug1984

RECOMMEND合わせて読みたい

RELATED関連する記事

RANKING人気記事