2020.06.23

【インタビュー】w2ソリューション 山田大樹CEO「新機能65超の大型バージョアップ 『ユニファイドコマースの再来』に対応」

山田大樹CEO


w2ソリューションが提供する「w2 Commerce Value5(Value5)」は、「w2 Commerce」として発売から10周年になり、大型ECのカスタマイズノウハウを投入し続け、導入企業の年間流通総額が200億円を突破した。さらに、「Value5」は8月に大型バージョンアップを予定。全ページに対応したCMS(コンテンツマネジメントシステム)を搭載する。他にもRPAのような完全受注オートメーションを追加したり、広告の効果測定機能を拡張したりするなど、65以上の新機能を追加。山田大樹CEOは、「変化の早いEC業界で成長するのであれば、バラバラのシステムを組み合わせるよりも、統一されたシステムで戦う方が勝算がある。昔、よく言われた『ユニファイド(統一された)コマース』が再来する中、ナンバーワンのソリューションを提供したい」と自信をのぞかせる。


――大型バージョンアップの目玉は。

「Value5」はフロント画面管理、バックオフィス管理、CRMマーケティングなどを標準搭載しているオールインワンのECサイト構築システムだ。クラウドサービスだが、プログラムを共用しないASPサービスとなるので、導入企業さまのイメージのままにカスタマイズできる。

今回のバージョンアップでは、CMSを追加する。運用者やデザイン会社が自分でページを自由に作成できる。コーディネートページを作ったり、バナーを自由に編集したり、自在にできる。LP(ランディングページ)を管理画面からドラッグ&ドロップで構成し、テキストをワードで文章を書くような感覚で編集することも可能。ページとパーツをすべて切り分け、管理画面上で管理でき、ページやバナーなどコンテンツごとの効果測定もできる。SEO対策のORGタグなどは、サイト全体でもできるし、カテゴリー、ページごとにも設定できる。カートシステムにCMSが付いているのは珍しくないかもしれないが、全ページ対応のCMSは見かけない。

統一システム求める流れ


ーー「ヘッドレスコマース」というキーワードで「WordPress(ワードプレス)」など、CMSにカートシステムを組み合わせ運用する動きも増えている。

当社でもコンテンツ領域には「WordPress」を提供してきたが、SEOの面でグーグルの評価は厳しくなっている。カートまで同一ドメインでないと評価が下がる傾向にあるようだ。クッキーの制限により、コンテンツやアプリ経由だと効果測定がきちんとできないケースもある。このような背景から、1つのシステムでECサイトを構築したいというニーズも大きい。

バラバラのシステムを組み合わせて活用する時代から、一昔前に流行した「ユニファイドコマース」のような統一されたECシステムを求める流れが来るのではないかと思う。昔は概念だけ先行しており、実店舗でもウェブでも同じ購買体験を提供しようと思うと、さまざまなシステムも組み合わせる必要があった。しかし、その構成だとスピード感を持って変化に対応できず、大きなコストもかかっていた。このことがEC業界の課題になっている。

オムニチャネルやOMOと言葉は変わるが、言っていることはずっと同じで、その世界観を実現するために、段階的にシステムのレベルを上げてきた。ただ、コロナで世界が大きく変わり、一気にユニファイドされた世界感を作ろうとするのであれば、システムは1つの方がうれしいはず。統合することで、クッキーや個人情報、プライバシーを意識しながらも、あらゆるチャネルの効果測定が一元管理できるようにしたい。

そのために将来的にはアプリやPOSレジ、無人コンビニ用の決済の入り口など、さまざまなソリューションを提供していきたいと考えている。

ーーCMS以外にバージョンアップで提供する機能は。

新機能を65以上追加する。これまで受注ワークフローという形で、受注処理業務を設定しておけば、ワンクリックだけで作業を完了できたが、受注オートメーション機能により、ワンクリックすらしないで、時間指定で自動処理できるようにした。イレギュラーな処理だけでアラートが上がってくるので、そこを確認するだけでいい。最近、RPAとしてはやっている受注の自動処理機能を、システムの標準機能として実装しているようなイメージだ。

他にも広告機能を強化した。広告代理店ごとに効果測定できるようにしたり、アフィリエイトの機能も拡張している。決済手段も拡充しており、特に後払い決済が増える。「LINE Pay」や「Paidy」、ネットプロテクションズが提供する「NP後払い」「atone」にも対応する。「LINE Pay」と「atone(AFTEE)」は台湾向けECでも対応している。「WeChatPay」など中国向け決済も対応の準備を進めている。

英国でも業務本格化


ーー海外展開も強化しているのか。

台湾や中国、アジア向けの展開はすでに始めているが、今年4月に英国に法人を設立した。6月1日から本格的に業務を開始している。英語圏向けのECサイト構築サービス「w2 Cloud Platform Suite(ダブルツー・クラウド・プラットフォーム・スイート)」を提供しており、現地企業や英国に進出する日本企業のECサイト構築を支援する。英国法人を欧州展開の拠点とし、日本企業の欧州進出も支援していきたい。

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