一般社団法人ジャパンEコマースコンサルタント協会(JECCICA)は1月17 日、都内で新春セミナーを実施した。第1部では「2020年のEコマース大予測(過激編)」と題し、川連一豊代表理事がEC市場の大胆予測を発表した。今回紙面では、第2部において、パルコのグループデジタル推進室・林直孝氏が「渋谷PARCOが目指す次世代型ショッピングセンターとは?」と題して講演した内容をダイジェストで紹介する。
買い回り客の維持率31%高い
パルコはスマホアプリ「POCKET PARCO(ポケットパルコ)」の提供により、ユーザーの購買パターンの分析を進めている。ショップAの場合、ショップAのみで購入したユーザー(ONLYユーザー)と、ショップA以外のショップでも買い物したユーザー(買い回りユーザー)では、買い回りユーザーの方が翌年もショップAで買い物する比率(維持率)が31.0%も高いという結果が出た。19年11月22日にオープンした「渋谷PARCO(パルコ)」でもデジタルの力を使い、ユーザーの買い回りを進める取り組みを強化している。
オムニ型で売上最大化
5階の中央に位置する商業スペース「PARCO CUBE(パルコキューブ)」は、オムニチャネル型の売り場をコンセプトとしている。
「小さなスペース・在庫数で売り上げを最大化する出店スキームに挑戦している。ショールームではなく、スタッフがいて、その場で商品を購入できる。『パルコオンラインストア』とデータ連携することで、店頭に在庫がないSKUはオンラインストアの在庫を使って販売している」(パルコ・林氏)と話す。
パルコの林氏「パルコキューブ」のフロア中央部には、大型のデジタルサイネージを設置した。75インチのサイネージを4面配置し、オンラインストアと在庫連携した商品データをランダムに表示している。
「ウィンドウショッピングのように、商品と出会うきっかけを作るのが狙い。サイネージをタッチすると商品データの詳細が拡大して表示される。QRコードをスマホで読み取って、商品データを取り込むことも可能。取り込んだ後は実店舗に見に行ってもいいし、そのままスマホで購入することもできる」(同)と話す。
各店舗にも小型のサイネージやその場で購入できるタブレットを置いている。
AIショールームも
1階にあるクラウドファンディング「BOOSTER(ブースター)」の実店舗では、「実証実験型AIショールーム」と称し、店内に設置したカメラやセンサーで分析した来店客の行動データを出店するメーカーに提供している。
ほかにもスマホで購入履歴を把握できる電子レシートを導入し、購買データの把握につなげている。
「渋谷PARCO」